CONCLAVE
観てきました。
アカデミー賞脚色賞受賞、8部門にノミネートされた話題作。
主演のレイフ・ファインズは
『ハリー・ポッター』シリーズのヴォルデモート卿、
ダニエル・クレイグ版『007』シリーズ途中からのM役等で
有名です。今回は枢機卿のトップ役で法服がピッタリ。
ミステリー作品なので詳しく申せませんが、
映像、音楽、メッセージ、どれをとっても素晴らしかったです。
映画作品や文学作品は現代の世界を映す
鏡のような役割を持っているとも言えますが、
カトリック教会の総本山バチカン、
伝統と信仰律で統べられた、一種の閉じた世界
(映画序盤、実際にコンクラーベの準備として
ガシャーンとシャッターが窓に下ろされていく表現で
強調されている?)を舞台に
社会的な生き物である人間のもつ負の側面や限界と
それを突破していくときに感じる迷いや苦しみ、一縷の希望が
見事に描かれていたと思います。
特に印象深かったのは、主人公ローレンス枢機卿が
コンクラーベのために召集された枢機卿たちを前に
「"certainty”(確信)が最も危険である」
「疑い、迷いながら前に進む大切さ」
(正確ではありませんが)を心構えとして説くシーン。
しかもローレンス枢機卿の洗礼名は「トマス」で、
原作者の細かな配慮に感服しました。
そういえば、敬愛するアーサー・ガーダム氏も著書の中で
ご自身の洗礼名に言及しつつ、
「自分は『疑り深いトマス』と呼ばれていた」
と書いていたような気が…(科学者、医学者としてポジティブな意味で)
(ガーダム『二つの世界を生きて』参照)
世間では、あるいはとりわけ信仰の場では
「信じる」ことが善で「疑う」ことは悪のように
(時に大雑把で勝手な文脈で、乱暴に)言われがちですが、
ローレンスしかり、ガーダム氏しかり、
「悪意のない、素直な疑問を持つこと」は
「正直さ」「人間らしさ」と同義であるとつぶやく人に、
私はシンパシーを感じます。
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